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本編
俺は妙な引っかかりを感じながら
家の中を一通り見て回り、
最後に居間で腕を組み、何も
変わり無く見える部屋を見回した。
(うん…やっぱ気のせいだよな!)
そう結論付けた俺は、
小さな違和感は受け流すことにした。
いつものように洗濯乾燥機の中から
洗濯済みの下着を取り出し、
汚れ物を入れてボタンを押すと、
そのまま家を出て、玄関の引き戸を
施錠し、ポストの郵便物を回収して
から、会社へと戻ったのだった…
そうして、激務の日々が
気付けば30連勤にもなった、
ある日のこと……
昼過ぎに、突然上司が、
「よしっ!!」と声を上げた。
上司「これでようやく
終わりの目処が立った!
みんな、お疲れさん!!
今日はもうこれで、帰っていいぞ!!
みんな本当に、どうもありがとう!!
ご苦労様でした!!!」
そう言って、
深々と頭を下げたのだった。
(原因は他社のトラブルで、
自分のせいじゃないのに…
自分だってヘトヘトなのに、
一人一人に声をかけて回って…
凄い人だな…)
肉体的には疲労困憊だったものの、
みんなでやり遂げた達成感と
開放感で、俺は、心の底から
晴れ晴れとした気持ちだった。
(よ〜し!これは焼肉と
ビールで乾杯といくか!)
俺は勢いで一瞬そんな事を
考えたものの、すぐ冷静になり、
(とにかく早く家に帰って、
風呂に入って、布団で寝たい!!!)
と思ったのだった…
上司「帰りに事故なんか
起こすんじゃないぞ!!疲れが
溜まってるんだから、くれぐれも
安全運転で帰ってくれよ!!」
わざわざ門の所まで出て来てくれた
上司に見送られ、俺はいつも以上に
安全運転で家に帰った。
まず風呂に湯を溜めながら、
タオルと着替えのパジャマを準備する
と、俺はすぐに服を脱ぎ始めた。
軽く体を流した後、まだ半分も
溜まっていない湯船に滑り込むと、
そのまま目を閉じて、
徐々に体を包んでいく
湯の気持ち良さを堪能した…