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本編
検査結果を検討し合っているような
声が聞こえ、何が起こっているのかと
薄眼を開けてみると、
書類を受け取った先生の手が、
震え出したようだった…
医師A「え…?何だこれは…!!」
医師B「あ…こりゃいかんな…」
スカコ「え…私の病気…
そんなに悪いんですか…?」
医師A「いや…まぁ…
そ、そうですね…」
私にそう答えた後、先生方が
小声で話し合うのが聞こえてきた。
医師A「先生、この後は…
どうすればいいんでしょうか?」
医師B「ん〜…とりあえず隔離だな」
先生方はお互いに顔を見合わせて
無言で頷き合った後、
私に向かって告げた。
医師B「スカコさん、今から
隔離病棟に移って頂きます」
スカコ「隔離病棟…それって…
もしかして…」
私は、当時騒がれ始めたばかりの、
恐ろしいウイルスに感染したのでは?
と血の気が引いた。
ところが、事実はある意味
それ以上に恐ろしく、
深刻な状況だったのだ……
車椅子を押されて離病棟に連れて
行かれてベッドに寝かされた私は、
具合の悪さに加え、訳も分からず、
ただただ不安を抱えていた。
看護師さんが点滴をしてくれる中、
先生方はバタバタと忙しそうだった。
慌てた様子で電話をしたり、
やって来ては出て行ったり…
やがて真っ白な防護服を着込んで
入って来たりで、とにかく
物々しい雰囲気だった。
(防護服って初めて生で見た…何だか
とんでもないことになっちゃったな…
あぁ…私以外、全員防護服だ…
自分がウイルスかバイキンにでも
なったみたいな気分…)
そのうち保健所の
職員さんもやって来た。
タナカと名乗った保健所職員さんは、
椅子に座ると防護服の中から私を
安心させるように微笑んでくれた。
手に持っていたバインダーから名刺を
出してサイドテーブルの上に置くと、
これから私の担当になると告げ、
私に様々な質問をしては、バインダー
の用紙に書き込んでいくのだった…