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本編
私が詳しく説明をすると、香水女は
無言になり、目は点になった。
香水女「な…なんなのよあんた…
なんでそんなに詳しいのよ!!」
スカオ「ああ、これはすみません。
申し遅れました、私、弁護士の
スカオと申します。」
私はそう言って義手の親指でコートの
襟をグッと押し広げ、ジャケットの
左胸の弁護士バッヂを覗かせた。
香水女「べ…弁護士…??」
高校生達が「おぉ…スゲェ…」
「マジか…」とつぶやき、
眼鏡の女性も目を丸くしていた。
駅員さん達は少し戸惑った様子で、
お互いに顔を見合わせていた。
香水女「ア、アンタ…
私をはめたわね…?」
スカオ「はめた…?なんの事
でしょう?あなたが私を
はめようとしたのでは?」
香水女「弁護士だなんて…
言わなかったじゃないの!」
スカオ「弁護士が名乗らなくては
ならないなんて決まりは
有りませんよ?それに…私は電車の
中でちゃんと確認しましたよ?
『私の方からは、チカン冤罪案件として
対応することになりますが、
構いませんか?』と。
覚えていらっしゃいませんか?」
香水女「………………」
私は香水女に畳み掛けた。
スカオ「ではこれは覚えて
いらっしゃいますか?あなたは
電車の中で、私に慰謝料50万円を
要求しましたね?
支払えば警察に通報しない。逮捕や
クビが嫌なら支払え。このままだと、
私は社会的な信用を全部失う。
そう言って脅しましたよね?」
香水女「そ、そんなこと…
言ってませんけど!?」
スカオ「そうですか…あなたは
どうも記憶力があまり宜しくない
ようですね…そうそう、
ならこれはどうでしょう。
覚えていらっしゃいますかね?
私がボイスレコーダーで、
会話を全て録音しているという事を」
スカオ「そして今現在、
この会話も録音されていて、
裁判の証拠となり得る事を」
香水女「ムグッ……」
何か言い返そうとしていた
香水女は、慌てて口をつぐんだ。
スカオ「近年、示談金や慰謝料目的の
チカン冤罪詐欺が増えて
いるんですよね…恐ろしい事です。
チカンをでっち上げ、仕事や家庭を失う
と脅し、大金を騙し取る…
私も弁護士として、そういう案件を
扱ったことがあるんです。
まさか自分がその被害者になろうとは
思ってもみませんでしたけどね。」