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本編
おば様B「そうよ〜。お兄さんは
間違ったこと言ってないけどね、
その…見た目がね…ちょっと…
何ていうか…」
おば様A「迫力?」
おば様B「そう!それっ!
迫力があるから!
カッとなって怒鳴ったりしたら、
逆にお兄さんが悪者に
されちゃうわよ?」
コワモテさん「はい…すいません……
俺も最初は気をつけてたんですけど…
この人の態度があまりにも
酷いもんで…つい…」
おば様A「分かってるわよ〜!
お兄さん、最初は随分気を使って
声をかけてたわよね?私たち、
『意外とちゃんとしてるわね』って、
後ろから感心して見てたんだから!
ね?」
おば様B「ええ、そうよ〜。
お兄さん、何にも悪い事してないのに
まず最初に謝ったでしょ?
『自分の顔が怖いせいで、ベビーカーを
固定できなかったんじゃないか』
って、ピン子さんのこと気遣って!
ステキだったわよ〜!」
大声で怒鳴ってしまった事を
反省しているのか、背中を丸めて
すっかり小さくなったコワモテさんに
おば様2人が両サイドから、
「よくやったわよ!」
と背中をバシバシ叩いていた。
3人の和やかな様子に、車内の空気も
一気にホンワカムードとなっていた。
そんな中、乗客の誰かが
「あのお母さん、なんでちゃんと
謝らないのかしら…」
と呟くのが聞こえた。
それを皮切りに、
乗客「自分が悪いのに、絶対に
謝らないヤツっているよな〜!」
乗客「訳の分からない言いがかりで
叩かれて…お姉さんが可哀想…」
乗客「ベビーカーで乗ってきて、
乗車ルールも知らないとか…」
乗客「あのお母さん、ず〜っと
怒ってたけど、結局全部勘違い
だったわけでしょ?」
乗客「ただの勘違いで何分も甲高い声
で怒り続けて…お兄さんの一瞬の
怒鳴り声より、お母さんの方が
よっぽど迷惑だったわよね!」
などと、皆が口々に文句を
言い始める声が聞こえてきた。