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本編
心臓がバクバクしていた。
まさか…。ヤバミは俺を
○そうとしていたというのか…?
世界が上下逆になって、
ガラガラと虚空へと崩れ落ちて
行くような感覚だった。
医者「警察に届けるか…。
ご希望でしたら、入院先を
ご紹介する事も出来ますし。
少なくとも、奥様から離れて、
どこか安全な所に避難して下さい。」
もし本当に○そうとしていたなら、
目的は?俺には財産も無いし…
いったい何の為に?
目の前にハッキリと示された
答えが有るのに、俺には
どうしても信じられなかった。
それから医者にどう答えたのか…。
支払いは済ませたのか…。
気が付くと、俺は家の前に
立っていた。
さっき病院で聞いた事は、
何かの間違いかもしれない。
いや、病院に行ったこと自体、
幻なのではないだろうか?
ドアを開ければ、いつも通りの嫁が、
笑って出迎えてくれるのではないか?
そんな思いが頭に渦巻いたが、
ドアを開けようとポケットに
手を突っ込むと、鍵と一緒に、
病院の領収書が、
くしゃくしゃになって出て来た。
「どこか安全な所に避難して下さい」
という医者の声が聞こえた気がした。
俺は、病院の領収書をもう一度
ポケットにしまい、ドアを開けた。
ヤバミ「おかえり〜。
どこ行ってたの?」
後ろめたさや罪悪感などは、
全く感じられないヤバミの様子に、
俺は突然、猛烈な恐ろしさを感じた。