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本編
主任は周りの看護師に
「ごめん。ちょっと休憩入るね」と
言って、私を連れ出しました。
主任「大変だったね…
今日はもう帰っていいから。
スカコ、明日はちょうどお休みだから
一日ゆっくりして」
スカコ「はい…
ありがとうございます…」
主任「いいのよ、今日は幸い
患者さんも少ないし。…それで…
何かあったら、いつでも相談して。
話聞くぐらいしか出来ないけど…」
スカコ「ありがとうございます…」
そう言った後、私は昨日までの、
何も知らなかった自分が滑稽に思えて
自嘲気味に笑ってしまいました。
スカコ「……私、自分は
大丈夫だと思ってたんです……
よく言うじゃないですか、
看護師のこと、“ダメ男製造機”って。
確かに、看護師仲間の中には、
彼氏が仕事を辞めて転がり込んで
来ちゃった、とか…
ギャンブルばっかりしてる
ダンナに貢いでるとか…
いますもんね。
だけどタカシは、ダメ男とは
程遠い“良い夫”だし、私はタカシと
結婚出来て、本当に幸せだ、って…」
主任「うん……」
スカコ「じつはここ3ヶ月、
休みが全然合わなくなって、
会えなくて……カードの引き落としに
お金が足りないとか言い出しても……
まさか浮気だなんて……
考えてもいませんでした……」
主任「浮気は……確実?」
スカコ「はい……
タトゥーを確認して来ました」
主任「そっかぁ〜……」
主任は、休憩用のベンチの背に
もたれて天を仰ぎながら、
大きくため息をつきました。
主任「…で?どうすんの?」
スカコ「……とりあえず証拠を
集めます。興信所に頼んで……
当分知らないふりを
続けるつもりです。今日も、
病院には居なかったことにして」
主任「…わかった。
…みんなにも言っていい?」
スカコ「はい。お願いします。
みんなにも協力してもらわないと…」
主任「…わかった。
言っとく。安心して」
スカコ「ありがとうございます…」