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本編
娘は(聞くまでもないでしょ!)と
言わんばかりに、鼻で笑いながら
俺を見た。嫁も(当然です!)と
いった感じで何度も頷いている。
(この2人は、俺と完全に
縁を切りたがっているんだな…)
惨めな気持ちを悟られないよう、
俺は努めて淡々と振る舞った。
俺「それなら、離婚協議書を
公正証書で作成したい。内容は……」
鞄からあらかじめ用意しておいた
紙を出し、テーブルの上に置いた。
1、家は嫁に譲渡する。
2、現金は財産分与+500万円を
上乗せして嫁に渡す。
これを手切れ金とし、
その後一切金銭的な要求はしない。
3、俺と嫁は今後一切の関わりを
断ち、互いへの接触を禁止する。
4、娘の授業料はこれまで通り俺が
学校側へ振込をする。退学しない
限り、高校卒業まではこれを続ける。
大学については、進学時にまた
改めて娘と話し合って決める。
5、離婚後はいかなる場合でも、
元夫婦であった事実とこの離婚合意
内容に関し、一切の口外をしない。
俺「こんな感じでどうだ?
嫁からは他に何か希望は有るか?」
予想以上の好条件だったようで、
嫁は一瞬喜びがこみ上げた様子を
見せたが、慌てて真顔を作り直した。
嫁「えっ!?あ、う〜ん。
特に無い…かな…うん!」
あくまでも自分が優位に
立っていたいようで、
上から目線で言い足してきた。
嫁「私だって、あなたと
元夫婦だなんて知られたくないし!
接触禁止もお願いしようと
思ってたからね!後になって
付きまとわれても困るし!」
娘は怪訝な顔で、俺の表情を
伺っているようだったが、
俺は素知らぬふりをし続けた。
俺「公証役場に予約を取って、
夫婦2人揃って手続きをしに行くこと
になる。必要書類は2枚目の一覧表に
まとめておいた。チェックが入って
いるものは全て俺が用意するから、
お前はチェックが入っていないものを
用意しておいてくれ。」
嫁「え…。う…うん。分かった…。」