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本編
スカ太郎
「ヨシノ先輩は、
トマトジュース苦手ですか?
無理に飲めとは言いませんから、
自由に飲ませてください」
ヨシノ
「俺、トマトジュースとか野菜
ジュースとか、大嫌いなんだよな」
ヨシノは文句たらたらだった。
あんたの好みなんか、知らんがな。
ていうか、健康食品を取り扱う
仕事をしていて、業界の2大売れ筋
ドリンクにケチをつけるとは。
俺が相手にせず、ぐびぐびとコップの
中のジュースを飲み干しているのを、
ヨシノは嫌そうに見ていた。
自分が飲めと言われたわけでも
ないのに、何でこういう態度を
とるかね?扱いが面倒な男だ。
やがて、ヨシノはいなくなった。
やれやれ。ほっと息をつく俺だった。
家に帰ると、すぐに彼女のマユが
やってきた。付き合って1年になる、
別の会社に勤める25歳のOLだ。
彼女もヘルシー志向。
出会いは、とある健康カフェだった。
マユ
「ねえ、見て見て。
やっと手に入ったんだよー」
マユは超ご機嫌だった。
俺の部屋に入るなり、
鞄からガラスの小瓶を取り出して、
何だか得意げな顔だ。
見せてもらった。
スカ太郎
「ああ、こないだ言ってた、
例のやつか。やっと買えたんだ?」
マユ
「そうなのよー。すっごい
順番待ちで、ようやく本日、
手に入れましたぁ!」
テンション高いな。まぁ、
無理もないか。二ヶ月くらい前に
マユ
「これ、どうしても
買いたいのよねえ。でも買えないの」
スカ太郎
「人気商品か?」
マユ
「うん、人気爆発だって。
ホームページにはずっと、
在庫切れって表示されてるのよね。
あー、いつ買えるんだろう」
なんて、騒いでいたっけ。
それが買えたのだ、はしゃぎたく
なるのも人情ってものだろう。
スカ太郎
「これが噂の。
しかし、凄い色してるな」
マユ
「味も凄いんだって。さっそく、
テイスティング大会を開催したいと
思いまーす。ナポリタン作るよー」
マユはにこにこ顔で、
うちのキッチンを占領した。
何だか、知らないうちに晩飯は
ナポリタンになったらしい。
ま、いいか。昼間は見たくもない
ヨシノの顔を見た挙句、せっかくの
トマトジュースにケチつけられて、
俺のテンションはダダ下がり。
マユに癒してもらおう。
この日の夜は、食事の味も含めて、
いろいろ刺激的だった。