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本編
英語科講師は、
ノリオと俺を含めて8名いる。
最悪は、他の同僚に教えてもらえれば
何とかなるだろうが、
それで全部を乗り切れるかどうかは怪しい。
困っていると、
後ろから肩をたたかれた。
立っていたのは塾長だった。
塾長「スカオ君。
どうだ、やっていけそうか?」
スカオ「いきなり前途多難です」
塾長「うん?
話を聞こうか、
塾長室まで来なさい」
俺の手には負えそうもないと思い、
塾で働かないかと声をかけてくれた塾長に
相談してみるか。そう考えた。
今日のところは挨拶だけで、
俺が本格的に授業を
受け持つのは明日から。
逆に言うと、
相談の時間をとれるのは
今日だけってことだ。
塾長「英語科チーフと揉めたのか?」
スカオ「揉めたというか、
誤解をこうむったというか」
塾長「そうか。困ったものだな、彼は」
スカオ「チーフは、
もしかして一癖ある感じの人物ですか?」
塾長「一言で言って、
プライドが高いな。
東大卒というところに、
とても価値を見出している」
スカオ「そうでしょうね。
東大卒以外は人にあらず、
みたいな勢いを感じました」
塾長「はは、
彼はいつもそんな態度だよ。
スカオ君に声をかけたのは、
英語科のとある講師がチーフと
対立して辞めてしまい、
人員が足りなくなったからなんだ。
学歴で人の価値を計る癖があるんだろうな。
私大出身だったその講師とは、
周囲が認める犬猿の仲だったよ」
そう語る塾長も、困り顔になっている。