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本編
ヒロヤ「あ……あの、ス、スカコ」
スカコ「うっさい!」
あわあわおどおど、
冷や汗だらだら。夫ヒロヤは、
口元がどえらい事になっている
私を前にして、今さらながら
うろたえている。
そりゃそうよね。
さんっっざん、義両親に
いびられまくってる私を
前にしても、ボケっとしてるか、
おろおろするかのどっちかで、
まるっきり役立たずだった男だ。
盛大に顔から床に突っ込んで、
前歯は折れるわ、
鼻血は吹き出すわ、
一人大惨事状態の妻を、介抱しよう
なんて思いもつかないのだろう。
何たって、役立たずだから!
ヒロヤ「……痛い?」
焦った挙句に、出た言葉がそれか‼︎
ほんと、頭に来る。
私が今こんな事態になってる、
そもそもの責任は、
あんたにあるんだよ!
喧嘩の末に、背中を向けた私を
突き飛ばしやがったんだから!
なんで、こんな役立たずと
結婚しちゃったんだろう。
あまつさえ、3年も嫁いびりに
耐えてしまったんだろう。
スカコのばか!
3年前。私とヒロヤは、
大学を卒業した。
学部が同じ、ゼミが同じ。
サークルも同じで、
なんなら好物も同じ。
話も合う。そして告白。
運命を感じてしまった
19歳の秋だった。
どうせ感じるなら、
危機であるべきだった。
25歳の今ならそう思うのだけど、
若いってこわいねー。