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本編

思わず息をのんだ、その時だった。

私は、自分の鎖骨から

バストにかけて、

ぞわっとする感触を覚えた。

 

ミカコは、人差し指で

私の鎖骨をすっとなぞり、

急に手のひらを開いて、

胸を横から包むように、

触ってきたのだった。

 

スカコ「え?ええっ?

あの、ミカコさん?」

 

ミカコ「いい張りねぇ。

赤ちゃんのために、

たくさんミルク出せそう。

妊娠した女性らしい

体つきになってきてるし」

 

私は、さっきまでとは

別の意味で困惑した。

他意は……うん、きっと無い。

悪気は無いに違いない。

でも、あのう。

触り方がちょっと。

少なくとも人前でというか、

電車の中でやる事じゃないと思う。

 

彼女の手を振りほどこうか。

一瞬、その考えが

頭の中をよぎった。

率直に言って、不快感を催す。

いくら悪気が無いとしても、

これはやりすぎとしか思えない。

 

とはいえ、ずっと私に

寄り添ってきてくれた。

絶えず気にかけてくれて、

役に立つ情報も提供してくれて。

 

そんな彼女を強く拒絶するのは、

申し訳ないと言うか。

罪悪感があるのは否定できない。