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本編
スカコ「あ…いらっしゃいませ!」
キヨカ「こんにちはぁ〜……」
まだ年若いその女性は、
おずおずと話を切り出した。
キヨカ「初めまして。あの〜……
今ってちょっと…お時間頂けますか〜?」
セイジ「えぇ、大丈夫ですよ!
何か、ご注文でしょうか?」
キヨカ「はい。私、キヨカと申します。
市内でステーキ丼のお店を
経営していんですけど〜…」
スカコ「ステーキ丼のお店…」
キヨカ「はい。キッチン・キヨカ
っていうお店なんですけど〜…」
スカコ「あぁ!最近話題の、
行列の出来るお店ですね?」
セイジ「確か…タカウマ亭の近くの……」
キヨカ「あ、そうですそうです!
知っていて下さったんですね!嬉しいです〜!!
それでその〜…突然で申し訳ないんですけど〜…
タカウマ亭さんが、大量のお肉を
キャンセルされたって、
同業者さんからの噂で知りまして〜……」
私は思わずセイジと顔を見合わせた。
(業界で噂になっているなんて……
ワルミさんが怒鳴り込んで来るのも当然か……)
セイジ「えぇまぁ……そうなんです」
キヨカ「じつは私〜、前々から
こちらのお肉の大ファンで〜…
店を始める時も、こちらのお肉を
使わせて頂きたかったんですけど〜、
新規の顧客は受け付けていないと聞いて、
諦めたんです〜…」
スカコ「あ…そうだったんですね……
申し訳ございません。
少人数でやっているものでして……」
キヨカ「あ、そんなそんな〜!
品質を維持する為には、
仕方がない事だって分かってます〜!
だけど〜……タカウマ亭さんとの
契約が終わった今なら、
もしかして…私にもチャンスが
有るかな〜って思って〜…
それで今日、お伺いしたんです〜!」
スカコ「ありがとうございます。でも……
噂をお聞きになったなら、
悪い噂もお聞きになったんじゃ……」
キヨカ「あぁ〜!後から
ワルミさんが流した噂ですね〜?
あんなの、誰も信じてませんよ〜!
実際、こちらと取引なさってるお店の方々は、
品質は少しも下がってないって
仰ってましたし〜!
それに、タカウマ亭さんが、別の業者から、
質の落ちる安い肉を仕入れ始めた
って事も、もう噂になってますよ〜!」
私とセイジは唖然として、再び顔を見合わせた。