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本編
スカコ「それじゃあ、配達行って来るね〜!」
セイジ「あぁ、気をつけてな!」
私の名前はスカコ。
5年前に急逝した父の残した精肉店を、
夫のセイジと共に引き継いで営んでいる。
一時は廃業の危機に陥った事も有ったが、
夫婦二人三脚で頑張って、どうにか盛り返し、
今では有り難いことに、
市内数十店舗の飲食店に肉を卸している。
中でも地元の有名店である、
創業60年の老舗の高級ステーキハウス
『タカウマ亭』さんは、
先代オーナーの時代から30年以上の
変わらぬお付き合いで、
現オーナーのワルミさんも、
うちの卸す最高級の肉を、
高く評価してくれているのだった。
スカコ「ご注文のお肉、
お届けに上りました~!」
ワルミ「あらスカコさん。
いつもご苦労様〜」
スカコ「ワルミさん!
いつもお世話になっております!」
ワルミ「お世話になってるのは
こっちの方よ〜。
おたくのお肉は、先代から変わらず
最高品質だからね!
ウチがレストランガイドの星を
獲得出来たのも、このお肉のおかげよ!」
スカコ「そんな風に言って頂けるなんて……
亡くなった父も喜んでると思います!
これからも末長く、
どうぞ宜しくお願いします!」
ワルミ「こちらこそ〜。
これからもいいお肉、よろしくね〜」
スカコ「はい!!ご期待を
裏切らないよう、精一杯頑張ります!!」
肉の目利きのオーナーに、
卸した肉を褒めてもらえること。
そして、それを食べたお客様が、
「美味しい」と喜んでくれること。
肉屋にとって、これ以上嬉しい事は無い。
たとえ、食べたお客様に
直接褒めてもらう事は無くとも、
お客様の笑顔を引き出す一端を
担っている事が、私達夫婦の誇りなのだ。