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【第14話】出産トラブルで嫁か子どもどちらを取るか判断することになった浮気夫

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本編

ナースコールらしいボタンが、

手の近くにあったので、

鳴らしてみた。

 

しばらくすると看護師が入ってきて、

その後は医師も様子を見に姿を現し、

やがて許可が下りたのか。

どやどやと何人も入ってきた。

 

私の両親、義母、そしてレイジが。

ミホは帰ったようだった。

両親は泣き笑いの表情、

義母は浮かれた様子、

レイジは何だか複雑な顔。

夫以外の反応は、

まぁ理解できるとして。

 

彼は、何であんなに

不服そうなんだろうか。

みんなの様子から、

子供は無事に生まれたんだとの

予想はついたけれど、それにしては、

レイジの表情に喜びの色が無いのだ。

 

私と大喧嘩してまで、

子供を欲しがったくせに、

いざ出産が終わったら

むしろがっかりしているように

見えるなんて。

 

スカコ父「レイジ君。

さっきの事について、

いずれ話がしたい。逃げるなよ」

 

父がどすの効いた低い声で、

夫と義母を睨みつけつつ言った。

さっきの事!?ああ、

私より子供をと叫んでいた件かな。

二人はがたがた震え、いかにも

まずいという顔をしてうつむいた。

 

スカコ母「あんたたちに、

娘にも子供にも近づく権利はないわ!

出て行きなさい!」

 

母も叱責の声を飛ばす。

二人も、危ういところで実の娘である

私を失いかけたという気持ちが

あるのか、小刻みに震えていた。

 

医師の指導によって、

あまり長い時間の面会は

出来ないとの事から、

両親もすぐ引き上げていった。

レイジは振り返ろうともしなかった。

その態度にも引っかかる。