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【第4話】来院した母親の診察中、子供が変な手の動きを→そのサインの恐ろしい意味が…
前回の内容はこちら▼ 1話から読みたい方はこちら▼ 本編 以前聞いていた話によると、 アヤカさんの父親は、アヤカさんが 幼い頃に事故でなくなっており、 女手一つで育ててくれた母親も、 アヤカさんが20歳になる前に 病気で亡くなってしまったそ...
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【第1話】来院した母親の診察中、子供が変な手の動きを→そのサインの恐ろしい意味が…
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本編
(このまま、うまく病気と
付き合いながら、ユウト君と
平和な人生を歩んでいってくれたら…
そしていつか、病気を理解して
一緒に努力してくれるような人と、
素敵な出会いがあれば…)
私はそんな希望を抱いていた。
ところが…再通院から2年ほど
経ったある日のこと……
診察に訪れたアヤカさんは、
いつものように次回の予約を
取ろうとした私にこう言ったのだ。
アヤカ「私、もう病気は
治ったと思うんです。
精神科、今日で
卒業しようと思います!」
私は耳を疑った。それまでに何度も
双極性障害について説明したし、
この病気は治ることはないのだ、
一生付き合い、薬でコントロール
するしかないのだと、
何度も言ってきたと言うのに…
確かに、双極性障害の初期では、
躁やうつがおさまっている期間は
年単位で、特に症状が無い。
しかし、継続して薬で
予防をしていなければ、
ほとんどの場合再発し、
再び躁状態やうつ状態がおこる。
きちんとした治療を続けなければ、
躁状態・うつ状態の病相の間隔は
次第に短くなっていき、
しまいには急速交代型
(年間に4回以上の躁状態、
うつ状態)へと移行し、
薬が効きにくくなってしまうのだ。
アヤカさんの場合、
1人で子育てをしなければならない
ストレスもある。頼れる人もいない。
不安要素は沢山あるのに、
精神科を卒業って……
人生はまだまだ長い。
アヤカさんはまだ30歳になった
ばかりだし、ユウト君だって、
まだ3歳になるかならないか…
投薬をやめ、もしまた変な男に
捕まってしまったら、
今度こそアヤカさんの人生は
壊れてしまうのではないか…