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本編
義父「カヨコのやつ!」
スカオ「何かご存じなんですか?」
義父「実は、その件でスカオ君を
呼んだんだ。呼んだはいいが、
話す決心がつかなくて、
今までぐずぐずしていた。すまない。
娘が知らない男と腕を組んで
歩いているのを、
雀荘の帰りに見かけたんだよ」
こうして、ようやく本題に入れた。
手短な説明を聞いた後、
俺は彼とすばやく打ち合わせして、
メッセージの続きに戻った。
スカオ「そうですか。不倫がばれた
のなら、制裁は仕方ないですね。
不倫したら離婚、慰謝料。
間違いないですか?」
義父「それが世の中の決まりだ!
500万用意しろ、
それで裁判を許してやる」
スカオ「500万で、
裁判は免除、と。
まぁ言いたいことはわかりましたが、
本人確認させてほしいですね。
何しろ大金が動くんですから」
義父「俺にどうしろというんだ?」
スカオ「ネットでもよくある
でしょう?暗証番号がわからなく
なったら、秘密の質問に答える
っていうやつ。まず第一問。
お好きなスポーツは?」
義父「サッカーだ」
のっけから大間違い。
覗き込んでいた義父が肩を落とした。
よりによって野球と、
ある意味でライバル関係にある
スポーツを持ち出すとは。
スカオ「では第二問。
ラーメン派ですか、そば派ですか?」
義父「ラーメンだ」
これも不正解。コーチは
昔からそば派だ、ばかめ。
せめて娘に確認してから答えろよな。
スカオ「最後です。
カヨコのパート先は?」
義父「スポーツジムの受付だ」
これは……たぶん本当だろうな。
俺は知らなかったが。
これだけ堂々と、しかも即座に
言い切ったところから見て、
間違いない。
浮気相手は同僚ってところだろう。
俺とコーチは、できるだけ正体に
気付いていると相手に悟らせない
ようにふるまって、情報を聞き出す
作戦を立てていたのだ。
スカオ「よくわかりました」
義父「いいか、明日の夜までに
離婚届を書いて、娘にもたせろ。
慰謝料は娘の口座に振り込め」