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【第6話】癌と診断され、夫に見捨てられた私…

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【第5話】癌と診断され、夫に見捨てられた私…
前回の内容はこちら▼ 1話から読みたい方はこちら▼ 本編 癌を打ち明けてから4日後、 ノブアキは私を居間に呼んだ。 (やっと受け止める準備が 出来たのね…) とホッとした私に向かって、 ノブアキは冷たい表情で話し始めた。 ノブアキ「ごめん、...

1話から読みたい方はこちら▼

【第1話】癌と診断され、夫に見捨てられた私…
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本編

(あぁ…この人は本当に、

自分の考えを絶対に

曲げない人なんだなぁ……)

 

私が癌に冒されてしまった以上、

もうどうやったってノブアキの

気持ちを変える事は出来ないのだと、

徐々に諦めの感情が

膨れ上がっていった。

 

おまけに、癌を抱えた私には、

ノブアキを説得し続ける気力も、

体力も、時間も、有るはずも無く……

 

結局はいつものごとく、ノブアキの

決定に従う事になるのだった…

 

(結局、結婚生活なんて、

片方が投げ出した時点でもう

終わりの、儚いものなんだな…)

 

私はノブアキから渡された離婚届に

サインし、わずか4年ちょっとの

夫婦生活に幕を下ろす事となった。

こうして私は、癌という

恐ろしい病気を得たと同時に、

愛する夫を失ったのだ。

 

だが実を言うと、離婚して、どこか

ホッとしているような部分も有った。

ノブアキの希望通り離婚をすれば、

私はノブアキに、これ以上迷惑を

かけなくて済むのだから…

 

綺麗事に聞こえるかも知れないが、

私はその時点で、まだノブアキを

心から愛していたのだ。

 

よくドラマや映画なんかで、

余命宣告を受けた登場人物が、

愛しい恋人にその事実を伏せ、

一方的に別れを告げて姿を消す、

なんてストーリーがあるが、

癌になる前は理解出来なかった

そんな登場人物の気持ちが、リアルに

分かるようになったと言うか…

 

別に悲劇の主人公ぶっているとかでは

なくて、そんな選択をする事で、

自分自身が楽になる部分も有るのだと

癌になってみて初めて

理解出来たのだ。

 

とは言え、恨みに思う気持ちも

当然有った。悲しかったし、

寂しかった。