前回の内容はこちら▼
【第21話】婚約者の彼と高級レストランへ→入店後すぐに伝票が渡され…
前回の内容はこちら▼ 1話から読みたい方はこちら▼ 本編 翌日の早朝、私は身の回りの 荷物を纏めておいたキャリーケースを 持って実家に向かい、 両親に全てを打ち明けた。 婚約を喜んでくれていた両親は、 青天の霹靂に愕然としていたものの、 入...
1話から読みたい方はこちら▼
【第1話】婚約者の彼と高級レストランへ→入店後すぐに伝票が渡され…
こちらもおすすめ▼ 本編 私の人生最大の修羅場…… これは、当時26歳の頃の話… 私はスカミ。とある大手企業の 総合受付で働く、いわゆる“受付嬢”。 婚約者のタカヤは、32歳。 取引会社の担当営業マン。 細身の長身を仕立ての良いスーツに 包...
本編
タカヤは最初こそ
「何のことか分からない」と、
とぼけていたらしいが、
次々と証拠を見せられると、
「な…何でそんな物まで警察に…」
と震え出し、
もう誤魔化しきれないと悟ったのか、
あっさり罪を認めたそうだ。
タカヤは詐欺容疑で逮捕され、
起訴前勾留となった。
最後にもう一度だけ、
話がしたかった私は、
拘置所へ出向き、タカヤと面会した。
タカヤは私を見ると嬉しそうに
笑顔を見せたものの、
短期間で一気に老け込んでいた。
タカヤ「スカミ!
来てくれたんだね!!」
無精髭を生やし、服装も、
よく裁判のニュースで見るような、
グレーのスウェットの上下で、
いつも仕立ての良いスーツを
着こなしていたタカヤとは、
まるで別人のようだった。
タカヤは、何か言い訳の言葉でも
探しているのか、
口をモゴモゴさせるばかりで、
スカミ「言い訳なんてしなくて
いいよ。私は全部分かってるから」
私が声をかけると、
タカヤは何を勘違いをしたのか、
タカヤ「やっぱりスカミは
信じてくれるんだね!
見捨てずにいてくれるんだね!
ありがとう…ありがとう…僕も
スカミのこと、心から愛してるよ!」
と、まるで試練を受ける悲劇の
主人公が、彼を信じ、支えるヒロイン
に向かって言うようなセリフを、
恥ずかしげもなく口にしながら、
ポロポロと涙をこぼすのだった…
スカミ「え…?『僕も』って…
私はもう、あなたのこと
愛してませんけど…?」
タカヤ「………へ?」
キョトン顔で私を
見つめてくるタカヤ…