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本編
アスカ「え…避難って……
ちょ、ちょっと待って下さい。
主人が警察に?
ど、どうしてそんな……」
ヒロト「お母さん!!
今は急いで家を出なきゃ!!
お父さんが帰って来ちゃう!!」
横からヒロトが叫び、それから
家の中へ駆け込むと、
私のいつものバッグを掴んで
玄関に駆け戻って来た。
その切羽詰まった表情を見て、
パニックになっていた頭が
スッと冷えるのを感じた。
タカダ「お母さん?!
聞こえてますか?!お母さん?!」
アスカ「はい、聞こえてます。
……主人が帰って来るまで、あと
どれくらい時間が有りそうですか?」
タカダ「そうですね…まず事情を
聞かれるだけでしょうから…1時間…
いや、30分くらいかもしれません」
アスカ「分かりました」
私は耳から受話器を一旦外し、
心配げな顔で私を見上げる
ヒロトに言った。
アスカ「ヒロト、自分の部屋に
行って、必要なものと大事な物を、
旅行用のバッグに詰めなさい。
夏休みに田舎に持って行った
バッグね。15分で出来る?」
ヒロト「うん!!分かった!!」
ヒロトは目を輝かせて走って行った。
アスカ「先生、すみませんでした。
少し落ち着きました」
タカダ「そのようですね。
良かった!それで…
頼れる先は有りそうですか?」
アスカ「いえ…とりあえず、
どこかホテルにでも…」
タカダ「でしたら、
一度学校まで来て頂けますか?
ご説明もさせて頂きたいですし、
今後のご相談もしましょう!
歩きじゃなくて、
タクシーが良いと思います」
アスカ「分かりました。
では急いで準備して向かいます」
私は電話を切ると寝室に向かい、
すでに重要書類や当面の日用品、
衣料品などを詰めてあった旅行用の
キャリーバッグを引っ張り出した。
(今日ユタカに離婚を
切り出すつもりだったから…
あらかじめ準備しておいて
良かった!!)
キャリーバッグを引っ張って、
ヒロトの部屋まで覗きに行くと、
ヒロトもちょうど旅行用のバッグを
閉めている所だった。
アスカ「準備出来た?」
ヒロト「うん!」
アスカ「行こうか」
ヒロト「うん!」