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本編
地元の男の子達と同じくらい
真っ黒に日焼けしたヒロトは、
その子達と連絡先を交換したり、
お別れのプレゼントを
沢山もらったりしていた。
(すっかり親友みたいに
なっちゃって…ヒロトはどこに
行っても、お友達に困らない
タイプなんだな…)と、
感心させられたのだった…
楽しかった夏休みが終わり、
二学期が始まってしばらくした
ある日のこと……
ヒロトの担任のタカダ先生から
電話が掛かってきた。
アスカ「いつもヒロトが
お世話になっております。あの…
ヒロトが何か…学校で問題でも…?」
タカダ「いえいえ、
そうでは無いのですが…
ヒロトくんの夏休みの
絵日記のことでちょっと…
お母さん、体調がお悪いというのは
お聞きしてるのですが、
一度、学校にいらして頂くことは
出来ませんでしょうか…?」
なるべく早く、学校で直接話したい。
とのことだった。先生の話しぶりに
胸騒ぎを覚えた私は、早速その日の
放課後お伺いしますと答えた。
職員室を訪ねると、タカダ先生は
私の顔を見て少し安心したような
微笑みを浮かべ、『相談室』
と書かれた小さな部屋に
案内してくれた。
長机を挟んで向かい合って座ると、
タカダ先生は早速机の上に
ヒロトの夏休みの絵日記を乗せた。
タカダ「お母さんは、こちらの
内容をご覧になられましたか?」
アスカ「いいえ…あの…去年までは
毎年確認してたんですけど…
今年は、ヒロトが『恥ずかしいから
絶対に見ないで!』と言うので…」
アスカ「書いていたのは
見ていましたが、内容は
確認していません…すみません……」
タカダ「いえいえ、謝って頂くような
事では無いんです…そうですか…
ヒロトくんが…」
アスカ「あの…何か…おかしなことが
書かれていたんでしょうか…?」
「子供の世話をきちんと
出来ていない!」と、
先生に怒られてしまうのかな…?と、
心配になった。
しかし、タカダ先生が開いて
見せてくれたヒロトの絵日記帳には、
思わぬ内容が書かれて
いたのだった……
[ボクが小さいころから、
お父さんはお母さんを
いじめています。お母さんは、
いつもボクにかくれて泣いています。
タカダ先生にはそのことを
知っていてほしいので、
今年の夏休みの絵日記帳には、
日記のほかに、ボクのお父さんと
お母さんのことを
書こうと思います。]