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本編
チナツは、俺を思い切り蔑んだ目で
見て来た。娘の恰好を見て、
俺は頭を抱えた。18歳の
女子高生とは、とても思えない。
全身が分不相応なブランドで
固められ、化粧もばりばりだ。
この様子なら、恐らく一度帰宅して
着替え、遊びに行ったのだろう。
スカオ「チナツ。おまえは
どこに行ってた?
進学塾って事は無いよな。
そんな話は聞いていない。
かと言って、就職活動している
ようにも見えない」
チナツ「うるさいなぁ、おっさん。
おっさんには関係ないじゃん」
スカオ「無いわけあるか!
もう半年もすれば、高校生活も
終わるんだぞ?いつまでも
遊んでいられる立場じゃないんだ、
分からないのか!?」
チナツ「行きたくもない高校に、
あんたが行けって言うから行って
あげてるんじゃんか。
まだ文句あるわけ?
あたしの行きたかった高校に
行かせてくれなかったくせにさぁ」
チナツは恨みがましくそう言った。
娘は中学生の時、制服がおしゃれで
可愛いからという理由で、
私立高校を志望した。
妻は大賛成、俺は大反対だった。
というのも、その私立高校は
制服がおしゃれというだけが
売りではなく、この地域では
一番偏差値が高い進学校でもあった。
受験生でありながら、少しも勉強に
取り組んでいなかったチナツが
行ける学校ではなかったのだ。
スカオ「行かせてやらなかった
わけじゃないだろう。
どうしてもというなら、
ちゃんと塾に行って受験対策しなさい
と条件をつけたぞ。何がなんでも
反対とは言ってない」
チナツ「そんなの、私立なんだから
さぁ。パパがちょっと
寄付金を頑張ってくれれば、
入れたかもしれないのにさぁ」
チナツは勉強を嫌がり、
金を積んで解決しろと言い張った。
中学生の考えとは思えない、
恐らくは妻の入れ知恵だっただろう。
そんな事が出来るかと叱りつけ、
結局は、名前を書けば誰でも合格と
噂されている今の高校へ
進学したのだった。
それを未だに恨んでいるらしい。
俺がケチらずに裏口入学の金を
出しさえすれば、可愛い制服が
着れたのにという理屈だ。
そんなわけはない。
たとえそうやって入ったとしても、
レベルが高い学校に、
努力嫌いなチナツがついていける
はずもなかった。本人はそう思って
いないようだったが。