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本編
ヤスコ「また流産したら
どうするの!?
嫌だよ、こんなめにあうの」
スカオ「もう二度と、
悲しませたりしないから」
必死に謝り、子供を拒否する
ヤスコを説得して、
再び授かったのがチナツだった。
前回の反省を踏まえて、
妊娠期間だけでも妻に寄り添おう。
流産の危険性は出来る限り
排除しよう。
そう決意し、俺は家事全般を
全て引き受けた。出産に立ち会い、
育児にも極力参加した。
考えてみたら、これが
いけなかったのかもしれない。
もちろん、育児参加を
後悔してはいない。
それが悪いのではなく、
何でもかんでも引き受けてしまった。
バランスを考える事無く。そのうち
社長「いい加減にしてくれ。
家庭を大事にするのは大いに
結構だが、会社の事も考えてくれよ」
社長に叱られ、我に返った。
だが、その時にはもう
遅かったのだろう。
ヤスコはすっかり、
俺は何でも言う事を聞くと
学習してしまっていた。
ヤスコ「流産したのは
あんたのせい!」
必殺のセリフで、俺が怯んでしまう
事も覚えたようだ。
何かといえばその言葉を持ち出し、
俺は罪悪感から強く言えない。
繰り返しそうなった。
一度バランスが崩れ、
おかしな形で定着してしまった
ものを、正しい姿に戻すのは大変だ。
俺は、その大変さにうんざりして、
自分が我慢をすれば丸く収まる
という方向に行ってしまった。
結果は今、荒れた家庭という
形になって現れている。
キッチンだけではない。
俺がやらなきゃ、いつまで
たってもドラム式洗濯機から
衣服は出て来ない。
トイレや風呂にはカビが生える。
何なら、ゴミも溜まってゆく。
こんな状態になっても、
ヤスコは気に留めた風もなく、
チナツは好き放題に生活している。
浮気までする始末だ。
スカオ「これじゃいけないな、
どこかでこの悪いサイクルを
断ち切らないと」
もっと早くに腰を上げていれば、
こうはならなかったものを。
そんな後悔を胸に抱きつつ、
俺は家族再生を真面目に考え始めた。