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本編
とにかく、車内が
ぎゅうぎゅう詰め。
ろくに身動き出来ない状態のせいか
今まで気づかれた事が無い。
まあ、動きにくいから、
席を譲って貰えたとしても、
座るのに一苦労しそうではある。
それにしても、苦しい。
お腹を圧迫されているようで、
気持ち的にも落ち着かないし。
早めの産休も考えなきゃダメかな。
そう思った時だった。
駅員「次はスカッと駅、
スカッと駅~」
やっと、半分来た。アナウンスと
同時に、降りる人の準備が
慌ただしくなる。
ああ、また押される!
お腹に負担が……辛い。
ミカコ「大丈夫ですか?
あなた、妊婦さんでしょ?
電車が止まったら、こっち来て」
急に声をかけられた。
背後から肩も叩かれて、
何とか振り返る。
笑顔の女性がいた。
電車も止まった。スカッと駅は
割と大きい。乗客の入れ替わりが
激しい駅でもある。
いつも、降りる客にぐいぐい
押され、自分まで強制的に
電車の外へ連れて行かれそうに
なってしまう。
でも、今日は違った。
女性が私の腕をしっかり
掴んでくれたおかげで、
人の流れに呑まれずに済んだ。
そればかりか、空いた席に
腰掛ける事まで出来た。