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【第9話】来院した母親の診察中、子供が変な手の動きを→そのサインの恐ろしい意味が…
前回の内容はこちら▼ 1話から読みたい方はこちら▼ 本編 (ユウト君の事は、保育園の 先生方が毎日見ていてくれる だろうし…きっと大丈夫だよね…?) そう思いながらも、次第に ダイキさんのことばかり 話すようになっていく アヤカさんに不安は...
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【第1話】来院した母親の診察中、子供が変な手の動きを→そのサインの恐ろしい意味が…
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本編
同じ年長さんでも、
色んな子が居るとは思いつつも、
私はユウト君と、同年代の
甥っ子の暴れん坊っぷりを、
心の中で比べずにはいられなかった。
アヤカ「ホントにもうっ!家じゃ
ワガママばっかり言うくせに…」
ブツクサ言うアヤカさんの様子に
苦笑いしながら、私はもう一度ユウト
君の目線にしゃがんで尋ねてみた。
スカミ「ユウト君、
保育園の年長さんなんだよね?
もうすぐ小学校だね!楽しみ?」
ユウト「うん…小学校は
楽しみだけど…」
スカミ「……だけど?」
私が先を促すと、ユウト君は
アヤカさんの方をチラッと見て、
「ううん…なんでもない」と
言葉を濁し、
それ以降、また下を向いて
黙り込んでしまったのだった…
私はユウト君が何を言いたかった
のか気にかかったものの、
無理に聞き出すことはせず、
「やっぱり緊張してるのかな?」と
言って看護師を呼び、
待合室でユウト君と待っていてくれる
よう頼んだ後、いつものように
アヤカさんを診察した。
アヤカさんはまたダイキさんの
話ばかりし始め、
私がユウト君の事を質問しても、
一言二言短く答えるだけで、
すぐにダイキさんの
話に戻ってしまう。
(ダイキさんと付き合う前は
『ユウト君が一番大事だし!!』
って言ってたのに…
今はもう、話題も興味も、
完全にダイキさん中心に
なっちゃってる……)
もう少し、ユウト君にも
意識を向けて欲しいと思ったが、
精神科の医師とはいえ、患者の心まで
コントロールしていい訳ではない。
アヤカさんの態度に歯がゆさを
感じながらも、その日、私の方からは
子育てや生活環境に対する一般的な
アドバイスや注意喚起しか
することが出来ず…