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【第3話】毒親の母が893の事務所に俺の履歴書を送り、俺の就職が決まった→20年後…
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本編
仕事熱心といえば聞こえはいいが、
母の稼ぎは母自身のためのもので、
俺を育てるためのものじゃない。
服はほとんど買ってもらえない、
たまに誰かのおさがりだと
はっきりわかる、ぼろぼろに傷んで
シミだらけの物を渡されるくらい。
食事も作ってもらった記憶はない。
菓子パンや賞味期限切れのおにぎりが
テーブルに置かれているだけ。
栄養といえば、
学校給食くらいだった。
何度も母に頼んだ。
作ってくれなくてもいいから、
せめて食材は用意してほしい、と。
母「うるさい子だねえ。
わかったよ、その代わり
自分で作りな」
10回以上頼んで、やっと
スーパーの見切り品やワゴンセールの
野菜、どこかで貰ってきたらしい
肉の切り落としといった食材が、
冷蔵庫に入るようになった。
テレビの料理番組を真剣に見て、
思い出しながら
料理するようになった。
高学年になったら調理実習が
家庭科の授業で始まり、
そこで基本を学んだ。
そのうち、母は俺が用意する
夕食を食べるようになった。
ジン「お母さん、おいしい?」
母「まずけりゃ食べるわけ
ないだろう。見て分かんないの、
バカだね」
感想を聞いても、冷たく
あしらわれてばっかりだったな。
でも、食べてくれるのが嬉しくて、
俺は一所懸命に作ったものだった。