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本編

やめてお願い、まだうちの学校の出番じゃねえよ。

よその学校のボクサー同士がリングで挨拶してるところだよ。

 

 

後輩「お爺さん、元気ですねー」

ジン「あの人はちょっとその、アレだ。

アレだからさ、血の気が多いんだよ」

 

 

後輩「アレじゃ分かりませんよ」

ジン「分からなくていい。

血の気が多い昭和じじぃだと思っておいてくれ」

 

 

アレとぼかしたのには、理由がある。

うちの爺さん、いろいろ人脈が深いんだよ。

仕事は職人系なんだけどさ。

 

 

寿司を握らせりゃ右に出る者なし、

みたいな感じで名が売れている。

それだけに、いろんな人と知り合う機会が多い。

 

 

しかも昭和の職人気質とでもいうのか、

けっこう気が短いと言うか荒いと言うか。

格闘技が大好きなのだ。

 

 

騒がれると面倒くさいんだけど、

本人的には孫を応援するんだという

純粋な気持ちで盛り上がっているようだから、

放っておくしかない。

 

 

本音は、女子高生の可愛い声援が欲しかった。

昭和爺さんの野太い「ジン、勝てよー」は、

あんまり要らんかった。