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本編

ゲントにはよくない噂がある。

俺はミオからそう聞いていた。

浮気しているとか、仕事をしないとか、

そういうものの中に

 

 

ミオ「ゲント君のお爺さんって、

そっち系の危ない人だって。

本人が言いふらしているんだよね」

 

 

つまり、極道の身内だと。しかも本人の談話だと。

そういうのは口にする事じゃないんだが、

凄い勢いで言い出した。得意そうに。

大声だったので、店の中に響いた。

 

 

祖父「ほう、おまえさんの爺さんは筋者かい」

 

 

一線を退いてはいるけれど、

まだまだ寿司職人の気分は消えていない俺の祖父が、

ちょうどカウンターにいた。

座って、新作を味見していたんだが、

その手を止めてゲントを見た。

 

 

祖父「それは間違いないのか?」

ゲント「おう、こんなはったり言えるか、恥ずかしい。

俺の爺さんは町で一番大きな組を構えてる。

 

 

睨まれたらただじゃ済まねえよ。

俺に逆らったら、爺さんが黙っちゃいねえぞ!」

祖父「ふむ。分かった、そこまで言うなら仕方ない」

 

 

爺さんは、にやっと笑った。

かつて俺の試合を見に来た時のような、

血気盛んな雰囲気になったのだ。