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本編

一定の条件を満たせば、執行は免れるのだが、

俺には当てはまらない。

 

 

ジン「そっか。何だよこれからって時に。

タイトルマッチ、やりたかったな」

祖父「落ち込むな。おまえはよく頑張った。

リングで果てれば本望なんて言うなよ?

第二の人生を生きろ、なぁ?」

 

 

ジン「……うん。でも俺、もう25歳だよ?

今から第二の人生なんて見つかるかね」

祖父「探せ、見つけろ。

今からでも遅くないから、寿司職人を目指すか?」

 

 

ジン「いやそれは遅いって。

だいたい、脳にダメージ食らった俺が、

職人みたいな細かい仕事が

できるようになるとも思えないし」

 

 

そういう経緯があって、おれは引退し、

普通のサラリーマンに転身した。

もともと、ボクシングだけで食っていける選手は

ごく一部で、俺も仕事は別に持っていた。

 

 

ただ試合の後はとんでもない顔になるから、

営業みたいなことは出来なかったけど。

何だか人生を見失ったような気がしつつ、

細々と事務仕事に精を出し始めた俺。

 

 

しかしAI化の波が押し寄せてきて、

こっちも厳しくなってきていた。

 

 

ジン(あー、どうしよう。

ほんとボクシング以外には

何のとりえも無かったんだな、俺。

 

 

事務仕事もどんどん自動化されてきて、

スキルも資格もない俺が生き残れるのかね)

そんな風に頭を悩ましていた折、同窓会の案内が届いた。