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【第10話】嫁が事故で半身不随に→嫁の毛布を取った瞬間、俺は理性を失い…
前回の内容はこちら▼ 1話から読みたい方はこちら▼ 本編 母にも悪いが復帰してもらって、 多忙に目を回しながら、 必死に乗り切った。 こんな冬が、実はこれからしばらく 続くことになるのだった。 スカオ「まいったなぁ」 あれからさらに5年。 ...
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【第1話】嫁が事故で半身不随に→嫁の毛布を取った瞬間、俺は理性を失い…
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本編
スカオ「母さん、悪いね。そろそろ
引退させてあげたいんだけど」
母「いいのよ。エリコさん、
他のシーズンでは休む暇もなく
働いてくれてるんだもの。
きっと、スノボ旅行を楽しみに、
頑張ってくれてるのよ。
一年に一度のリフレッシュ
くらい、気持ちよく
送り出してあげたいじゃない」
心臓の持病に加えて、
高齢化している母を、
ろくに食事休憩もないほど忙しい店に
駆り出すのは申し訳なかったが、
母の言葉にも一理ある。
確かに、このシーズン以外では、
エリコは家事に育児に店にと、
フル回転しているのだ。
たまにPTAの会合で外出する以外は、
ほぼ休もうとしない。
母の言う通り、年に一度の
スノボ旅行を心の支えに
しているのだろうと、俺も思った。
結局は母の好意に甘えるかたちに
なってしまったが、
エリコを送り出した。
その日の夜。
知らない番号から電話がきた。
時刻は午後8時すぎ。
何ごとだと出てみたら、病院だった。
病院職員「エリコさんの
ご家族様ですか?実は…」
スカオ「ええっ!?
事故ですって!?」
エリコが、スノボで滑走中、
スピードコントロールを失って
激しく転倒したという。
しかも場所が悪かった。
林間コースで転んだせいで、
立木に激突したのだそうだ。
現在は意識不明と聞き、
俺は思わず車のキーを手に取った。
家族には、簡単に
「エリコが木にぶつかった、
病院に運ばれたらしい」
とだけ言い、玄関を飛び出す。