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本編
浮気相手の方も、
あっさりと不倫を認めた
謝罪文が送られてきた後、
慰謝料も一括で振り込まれ、
あっという間に片付いた。
私としては、別にそのままタツヤと
くっついてくれても良かったのだが、
[タツヤさんとは真剣なお付き合いと
いう訳ではなく、既に別れました。
今後、2人きりで会うことは二度と
ありません]
と謝罪文に書かれていたので、
少し驚いたくらいだった。
一番時間がかかったタツヤでさえ、
義両親からの働きかえけのおかげか、
意外な程にスムーズに進んだ。
タツヤは弁護士を立てる事もなく、
ほぼこちらの要求通りに慰謝料と
養育費、その他の条件に合意し、
公正証書も作成した上で、
離婚の手続きに応じてくれた。
出口の見えない暗闇の中で、
1人ぼっちでただ悩んでいた時から、
わずか数ヶ月…。
何もかもカタがつき、
こんなにラクになれる日が
来ようとは…。
自分自身、ただただ驚いていた。
周りに相談し、素直に助けを求める
事の大切さ。覚悟を決めて
一歩踏み出す事の重要性。
未来を切り開くには、
自ら行動するしかないのだと、
改めて思い知った私は、
自分と息子のこれからの人生の為に、
もうひと頑張りしようと決めた。
そしてまた数ヶ月後…。
私は今、息子と二人、
海外で暮らしている。
離婚が成立した後、海外に
赴任したサオリに報告とお礼を
伝えると、サオリはもう一度、
会社に復帰しないかと誘ってくれた。
ちょうどサオリが赴任している
オフィスに、求人が出そうだと
言うのだ。
赤ん坊を抱えて海外赴任…。
正直不安も大きかったが、
これは二度と無いチャンスかも
しれないと感じた。
独身時代に同じ国に赴任した経験が
有った私は、国柄や職場環境、
働きやすさを知っていたし、何より、
息子の将来の事を考えても、
私がきちんとした収入を得る事は
不可欠なのだ。