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本編

誰に何を言われても、

どこ吹く風の様子で

聞く耳持たないとか。

その強気の根拠は

何なんだろうと、

私には謎で仕方が無かった。

それは、やがて知る事に

なるのだけど。

 

こんな風なので、

私はママ友を家に

招待するときは、

とても気を遣っている。

何しろ、うちは古美術商で、

家と店が一体化している造りだ。

仕入れた商品や、売却済みの

品物も、家の中にある専用の

保管所に置いてあるから、

万が一にでも悪童シュン君に

入り込まれたら、

大変な事になりかねない。

 

うちが手掛ける古美術は、

多岐にわたる。

年代物の絵画、掛け軸、

彫刻などはもちろんの事、

とてもデリケートな細工物も

あるし、海外からの

輸入品もちらほら。

相場は有って無いようなもの

だけど、それこそ歴史的価値、

文化的価値という、

金額のつけようがないものも

たくさんあり、美術マニアの

間では高額で取引されている。

 

興味が無い人にとっては、

本当にどうでもいいもの。

しかし、好きな人なら

財産をなげうってでも

手に入れたいと熱望するもの。

それが古美術という分野だった。

シュン君は言うに及ばず、

イツコも、その古美術の価値が

分かるとはとても思えない。

子供が力任せに振り回して、

取り返しがつかないほどの

損傷を与えたとしても

 

イツコ「何よ、そんなガラクタ」

 

の一言で、済ませてしまいそうな

気がしてならない。

だから、本当に彼女たち親子は

呼びたくないのだ。