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【第23話】仏のように温厚な夫にDQN893「痛い目を見る前に金出せ」と肩を掴んだ瞬間...
前回の内容はこちら▼ 1話から読みたい方はこちら▼ 本編 社長「タクマ。車の方は俺が 引き受ける。もう帰っていいぞ。 つーか、さっさと帰れ。ここから 先は、見ない方が身のためだ」 社長の言葉は、うかつに 絡んできた性悪男女カップルには、 地...
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【第1話】仏のように温厚な夫にDQN893「痛い目を見る前に金出せ」と肩を掴んだ瞬間...
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本編
だから、新車プレゼントを
断らなかったのだそうだ。
彼らにとって、メンツは
とても大事なもの。
高級外車を国産に変更というのが、
ぎりぎりの落としどころだった
という事情だった。
そして例のタイゴとリマ。
壺はやっぱり傷物になっていて、
彼らは責任をとらされた。
タイゴは過酷な労働条件で、
人が集まりにくい建築現場。
リマは女性ならではの職種。
二人で一年に800万を稼ぐ
ノルマを背負わされたという。
でも、弁償額はその十倍だ。
つまり最低でも10年は
厳しい環境で厳しい仕事を
しなきゃいけないとか。
そこに加えて、うちの
フルオプションな新車の弁償も。
あー、人生詰んだとしか思えない。
ちなみにタイゴの正体は
フリーター。
半グレに知り合いが
いるというだけだった。
もちろん半グレのお友達は、
本職に逆らうつもりなんか
これっぽっちもなく、
助けを求められても「知らん」と
そっぽを向かれたとか何とか。
あの二人、今は泣きながら
仕事をしていると聞いた。
タクマ「だから警察を
呼びましょうって言ったのに。
その筋だとか粋がったから、
俺もついムキになって。
だったらその筋同士で話をつけ
させてやろうって、思っちゃった」
クミコ「タクマは、
その筋にはならないよね?」
タクマ「ならないよ?このあいだ、
高齢の女性に仏様なんて
言われたし。子供たちにも
ぷぅーちゃんって呼ばれて、
気軽に近寄ってもらってるし。
信頼は裏切れないなぁ」
彼は顔をくしゃくしゃにして
笑った。ああ、夫はやっぱり
笑顔が似合う人だ。
このまま優しい、
穏やかな人でいて欲しい。
そしていつか、この優しい人を
パパと呼ぶ子供と出会いたい。
完