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【第5話】仏のように温厚な夫にDQN893「痛い目を見る前に金出せ」と肩を掴んだ瞬間...
前回の内容はこちら▼ 1話から読みたい方はこちら▼ 本編 高齢女性「あんた、仏様のような お人だねえ」 タクマ「そんな事は無いです。 困ったときはお互い様だと 思っているだけですよ、 それじゃお大事に」 だいたい600mほど歩いて、 無事に...
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【第1話】仏のように温厚な夫にDQN893「痛い目を見る前に金出せ」と肩を掴んだ瞬間...
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本編
結婚9年経っても、
私達の間に子供は生まれない。
私は結構悩んだり、
高度な治療を視野に入れて、
病院巡りも考えた。
というのも、簡単な検査では、
私の方が難しい可能性が
高いと言われたからだ。
思い詰めていた私を、
救ってくれたのもタクマだった。
タクマ「クミコはどうしても
子供が欲しい?」
クミコ「何が何でもって
ほどじゃないけど。
やっぱり女性として、好きな人の
子供を授かりたいとは思うわ」
タクマ「そっか、ありがとう。
俺も、気持ちは同じだよ。
他の誰でもない、クミコとの
間に子供が出来れば嬉しいと思う。
でもね。無理しなくても
いいとも思うんだ。こういうのは、
本当に神様の領域だと考えている。
クミコが、治療してでも
子供が欲しいなら、
俺も協力するよ。でも自然に任せて、
出来なかったらその時はその時、
夫婦で楽しく暮らしていく
道もある。
年齢が気になっちゃって、
焦るかもしれないけど。
自分たちのペースを守って、
ゆっくりいこう?」
そう言ってくれて、
私はほっとしたのだった。
この人は、うかうかと他人を
追い詰めたりはしない、
慎重で優しい人なんだ。
心からそう思った。
私達が旅行を共通の
趣味にしているのも、
こんな経緯が多少なりとも
関係しているのだろう。
元々、食べ歩きが好きな夫だった
けれど、子供にまつわる話をした
後から、よくドライブに
誘ってくれるようになった。