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本編
スカオ「学校のお友達は、これから
いっぱい恋愛をして、楽しい思い出を
沢山作っていくのに、
（何で自分だけ…）と
後悔しないでいられるか？」
サクラ「……………」
スカオ「でもな、サクラ。
俺はサクラを誇りに思うぞ」
サクラ「え…？」
スカオ「大抵のコなら、あっさり
堕ろすと決めてしまいそうなもの
なのに、サクラは、産みたいと
思ってる。それは、命と真剣に
向き合っている証拠だからな」
隣でミホが、何度も大きく頷き
ながら、涙をボロボロこぼしていた。
スカオ「それから…。最後に
もう１つ、考えておかなきゃ
いけないことがある。それは、
子供が障害を持って生まれてきて
しまった時のことだ」
サクラ「えっ？」
スカオ「サクラとタクヤが、
どうして結婚できないのかというと、
血が濃くなりすぎるからなんだ。
“近親婚”と呼ばれているんだが、
遺伝病の子供が生まれる危険性が
高くなる。つまり、障害を持つ子供が
生まれる確率が高くなるんだ。
それが近親婚が法律で禁止
されている理由の１つなんだと思う。
障害にも様々なものがあるけど、
一生子供の面倒を見続けなければ
ならない場合もあるんだよ。
お腹の子が障害を持っているか
どうか、まだ分からないが、
覚悟は必要だと思う」
ミホ「そもそも、出産だって
命がけなのよ。子供が亡くなることも
あれば、母親が亡くなることもある。
出産・育児って、たぶんサクラが想像
してるより、ずっと大変な事なのよ。
だからサクラも、もちろんタクヤも、
深く考えもせずに、安易に子供を
作っちゃいけないの」
スカオ「今ここで、すぐに
結論を出せとは言わないから、
何日かよく考えてみなさい。
そして心を決めたら、もう絶対に、
後戻りも後悔もしちゃいけない。
いいね？」
サクラ「はい。」
スカオ「まずは明日、お母さんと
病院に行って、ちゃんと診て
もらいなさい」
サクラ「うん。そうする」
部屋に戻って行くサクラの小さな
背中を、ミホと手を取り合って見送り
ながら、俺は、サクラがどんな選択を
しても、支えていこうと心に決めた。
