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【スカッとする話】金銭感覚がバグった夫、その原因は…

登場人物紹介

スカ子25歳(女性)主人公
クズオ27歳(女性)スカ子の夫
マリ31歳(女性)スカ子の義姉
義兄35歳(男性)マリの夫、スカ子の義兄
義母57歳(女性)スカ子の義母
義父61歳(男性)スカ子の義父

本編

私はスカ子。25歳。
今は妊娠7ヶ月目で
産休中の既婚会社員だ。

夫のクズオとは結婚3年目、
やっと待望の第一子を授かり、
貯金に励むで一致している。

と、思っていたんだけどなぁ。
それは私だけだったみたい。

クズオには姉がいる。
義姉マリは美人だ。
大学時代は読者モデル経験あり、
就職後も受付嬢で、
義兄と出会い、 去年結婚した。

義父はともかく、義母は息子より
娘を可愛がっているように見えた。
夫も

クズオ「姉さんは特別扱いだったよ。
特に母さんが可愛がってたな」

そう言っていた。 結婚の挨拶で、
義父は常識的に 振舞っていたけど、
義母は涙ながらに結婚相手へ

義母「マリを大切にしてね。
特にお金で困らせたりは
絶対にしないでちょうだい。
この子は私が、手塩にかけて
育てた可愛い娘なの。
お願いだから、幸せにしてあげて」
 

何度も念押ししていた。
よほど可愛いのだろう。
私も夫もどんびきしつつ
見ていた記憶がある。

義父は常識人で

義父「いい加減にしろ!
せっかくのご縁を壊すつもりか!」

びしっと義母を叱ったが。
義兄になる人は苦笑いしていたっけ。
後で義父に聞いた話では、
義母は娘の美人ぶりが自慢で、
結婚相手にも注文が山盛りだったという。

私がクズオと結婚する時には

義母「クズオをよろしくね」

の一言で終わった。
注文は無かったけれど、
意地悪も無かったので、まあいいかと。
ほどよく無関心だったので、
義母にはそんなに悪い印象は無かった。

ところがここ最近、
何となく雰囲気が変になった。

義姉夫婦は、まだ結婚1年未満なのに、
早くも不穏な空気だとか。
夫によれば

クズオ「また姉さんが
実家に戻ってきてる。
親父が困ったもんだと
ぐちってたよ、珍しい。
お袋と二人で、何か
こそこそやってるって」

とのこと。
うーん、嫌な予感がするなぁ。
とりあえず我が家は関わらない、
私も妊娠していて自分の体と
赤ちゃんの事で手一杯だから、
余計な事に巻き込まれないように。

クズオは気遣ってくれていた。
それなのに、昨日の夜、
いつもより遅く帰宅したクズオに

 クズオ「話がある」

真面目な顔で切り出された。
何事かと、私もちょっと緊張して、
夕食の片づけもそこそこに
ダイニングテーブルへついた。
嫌な予感がする。

スカ子「話って?」

クズオ「おまえ、
貯金はいくらある?」

スカ子「え?貯金?」

嫌な予感が、ヤバイ警報に変わった。
お金について聞くなんて、普通じゃない。
クズオは強張ったまま

クズオ「姉さんが、
離婚されそうになっているらしい。
どうしても、2,000万が必要なんだ」
 

とんでもない事を言い出した。
に、2,000万!? とても庶民に
手が届く金額ではない。

スカ子「な、何よそれ!?
いったい何があったの!?」

クズオ「俺もさっき、実家で
話を聞かされてきたばかりなんだ」  

どうりで遅かったわけだ。
残業かなくらいに思っていたけど、
実態はかなり違っていたらしい。

クズオ「姉さん、義兄さんの
貯金を使い込んだんだって」

スカ子「まさか、それが2,000万?」

クズオ「そうだよ」

スカ子「ちょっと待ってよ!?
現実離れし過ぎてて、
頭が追い付かないよ」
 

何があってそんな事態に
陥ったのか、まったく
見当がつかない。
そんな大金を、どうやったら
こんな短時間で使ってしまえるの?
というか、義兄の貯金に
手を付ける方法からして、
思いつかない。 何事なの!?

クズオ「姉さん、お袋に
勧められてFXに手を出したらしい」

スカ子「え、FX!?」  

聞いた事はある。
少し前に流行していた、
手軽に投資とかいう、
うたい文句のあれじゃない?

手軽な代わりに、失敗したら
とんでもない大惨事になるって
うわさも聞いた。

なら義姉は、投資の大失敗で、
義兄の貯金まで使ってしまった、と?

スカ子「そんな事できるの?」

クズオ「義兄さんは、姉さんに
べたぼれだったらしい。
専業主婦で家計も個人的な財産も、
全部管理を任せていたって」

スカ子「うわあ」

話を聞いて、
私はちょっとあきれた。
義兄も義兄だわ。

いくらべたぼれでも、
ものには限度ってものが
あるんじゃないの?
そりゃ信じていたんだろうし、
義母にも涙の要求されていたし、
そう言えば、お金に困らせないで
って言われてたっけ。

真面目そうな人だったからなぁ。
真に受けて、大事な個人財産まで
預けちゃったのかな?

でもそれは義姉夫婦の問題で、
うちは関係ない。そう思うけど、
貯金の額を聞かれたのが、
どうにも気にかかる。

スカ子「まさかと思うけど。
うちから援助してあげよう
って話じゃないよね?」

恐る恐る聞いてみた。
大丈夫だよね?

クズオはマザコンとかシスコンとか、
やばい雰囲気は無い人だ。

義母の義姉溺愛にも
どんびきしていた事もある。
助ける気になってないよね?

心の中で、疑問と恐怖が
ぐるぐる渦を巻いている。

それを必死に押し殺して、
違うと言って欲しい希望を
託しつつ、夫を見つめる。

クズオ「放っておいたら
離婚になるんだよ」

スカ子「……助けたいってこと?」

クズオ「お袋や姉さんには
同情してない。 でも親父がね。
思い詰めちゃって、
見てられないんだ」
 

盲点だったわ。
クズオは父親っ子なの?
確かに義父は、義母と違って
姉弟のどちらかをひいきする人
ではないと思う。
夫にもごく普通の父として
接して来ただろう事は、
見ていてわかる。

それだけに、夫の心は、
苦悩する父親へ
傾いてしまったのだろうか?
気持ちは分からなくもない。
私も、義父にはごく普通に、
夫の父としての敬意は
抱いているつもりだ。

だからといって、あと3ヶ月で
出産を迎える私の立場では、
背伸びして助けてあげましょう
とは言えない。
それはクズオだって同じのはず。
なのに、私や赤ちゃんよりも
自分の実家?

義父の苦悩を見るに忍びない
というのは分かるけれども、
人には分というものがあると思う。
ましてや2,000万。
たとえ高所得の家庭でも、
おいそれとは出せない大金だ。

スカ子「ちなみに、
いくら出したいの? うちに
そんな貯金があるわけないのは、
分かってるよね?」

クズオ「全額は無理なのは
分かってる。 500万でいいよ」

はぁ!? 500万「で」いい!?
クズオは金銭感覚が
バグったのだろうか。

2,000万に比べれば4分の1だけども、
世間的には十分に高額だわ。

スカ子「無いわよ、そんなお金」

クズオ「嘘つけ!」  

私が否定すると、
急にクズオは怒り出した。
いや、嘘じゃないって。
そんなに無いよ? 共同貯金は、
やっと400万に届くところだ。

スカ子「通帳見れば
分かるでしょ?
全額を出したって
500万も無いの。だいたい、
うちの生活はどうなるのよ?
赤ちゃんも生まれるのよ?」

クズオ「また貯め直せばいいだろう。
共働きなんだから」

スカ子「何言ってるの?」  

この人、本気なの?
信じられなかった。

私は産休に入って1ヶ月。
フル勤務時代と同じ給料はもらえない。
しかも産後は、育児でどれだけ
お金がかかる事か。 今後は当面、
妊娠前と同じペースでの貯金は
難しいに決まっている。
簡単にもう一回最初から、
なんてわけにいくか!

スカ子「クズオ、冷静に考えて。
心配する気持ちは分かる、
でも私達にも生活があるの。
夫婦二人だった時と、
これから赤ちゃんを迎える
今後は全然違うのよ?」

クズオ「子供を育てた事も
ないくせに、なんで
分かったような事を言うんだよ。
それとも、おまえは子供を産んで
育てた事があるのかよ?」
 

うわ、むちゃくちゃ言い出した。
興奮しているんだろうけど、
よくこんな事が言えたわ。
驚いて声も出なかった。
クズオは、凄く嫌な目を私に向けた。
軽蔑の色がはっきりしている目だ。

クズオ「今までの共同貯金と、
おまえの独身時代の貯金。
合わせれば500万以上にはなるよな?
おまえは俺をだましたんだから、
罰として貯金を全額渡せ」

スカ子「はぁ!?」

クズオ「子育てした事ないのに、
知った風な事を言っただろう?
経験があるって事なんだろう?
俺はそんな話、聞いてない。
だまされたようなものだ」

いやいやいや。
ちょっと待って待って。
なんで、いつのまに出産育児を
経験した事がある話になってるの?
だますって何!?

予想外過ぎる言い分に、
思わず固まった。
クズオは立ち上がり

クズオ「とにかく、
姉さんが困ってるんだ。
共同分と、お前の貯金も
もらって行くからな」

スカ子「ま、待って!
子供のための貯金なのよ!
そんなの無理!」
 

私も慌てて立ち上がった。

その時だ。
お腹が急激に張って来た。
妊娠7ヶ月の身に、
この衝撃はきつすぎた。
思わずしゃがみこんで、
お腹を抱えた。

クズオは私をじっと見下ろしていた。

クズオ「救急車呼んで欲しいか?
呼んでやってもいい、
その代わりにお前の貯金通帳が
どこにあるかを教えろ」

スカ子「そ、そんな……」  

とんでもない交換条件を出してきた。
でもお腹の痛みは待ったなし。
どんどん激しくなる。

しかたなく、私は場所を言った。
クズオがにやっと笑ったのが見えた。
彼はさっさと通帳を取りに行き、
私はその場に取り残された。
せめて先に救急車を呼んでよ!
そう言いたかったけれど、
お腹の圧迫に耐えるのが
精いっぱいで、私はただ
うめくしかできなかった。

しばらく痛みに耐えていたら、
やがて救急隊が到着したらしく
「大丈夫ですか?」と
若い男性の声で聞かれた。
何を応答したのかも覚えていない。
私は気を失ったようだ。

次に目を覚ましたとき、
病院ベッドに寝かされていた。
クズオは側にいなかった。
きっと通帳を持って、
意気揚々と実家に行ったのだろう。

あんな人だと思わなかった。
頭の中では、離婚の文字が
くっきりはっきり。
眠れなくて、物思いに
ふけっているうちに夜が明けた。

面会を告げられ、
やっとクズオが来たのかと思いきや。
顔を見せたのは義父と義兄だった。

スカ子「お、お義父さん!?
それにお義兄さんも!?」

驚いて、
思わず飛び起きそうになった。
義父が優しく制止して

義父「だめだよ、体にさわる。
赤ちゃんを大事にね」

スカ子「は、はい」

義父「クズオのばか者から
事情は聞いた。 申し訳なかった」

持っていかれた通帳2冊と
印鑑を返された。
横では義兄が

義兄「僕達の問題に
巻き込んでしまって、
本当に申し訳ありませんでした。
もうすぐご出産だと聞きましたよ。
このお金は、到底受け取れません」
 

深々と頭を下げてくれた。
こちらが申し訳なくなるくらい、
丁寧に謝ってくれたものだった。
義父は怖い顔をしながらも、
やっぱり頭を下げていた。

義父「倒れたスカ子さんを
脅すようにして、通帳を
持ち出したというじゃないか。
あのばか者が。 そのせいで、
こんな事になってしまって、
お詫びの言いようもない。
すまなかった」

スカ子「お義父さんが
悪いわけじゃないので、
お気になさらずに」

義父「私が悪いよ。
クズオにうっかりぐちを
言ったばかりに。 詳しい話は、
スカ子さんが落ち着いてから、
改めてさせてもらう。
まずは体を休めて、
元気な赤ちゃんを産んで欲しい」
 

私は、入院中という事で、
通帳を義父に預けたいと申し出た。
合計すれば500万以上、
しかも銀行印まである。
病院も自宅も、どうしても怖かった。
実家に連絡がつくまで待つのも怖い。
いま、一番信じられるのは
義父だとの思いもあった。

義父「分かった、責任もって
預かるよ。決してスカ子さんに
負担させるような事はしないからね、
安心して欲しい」
 

義父は約束してくれて、
義兄と一緒に病室を出て行った。

結局、クズオは来なかった。
私は実家に連絡して退院後の事を
実母に頼った。
もう、離婚は決定事項だった。

その後。 無事に男の子が生まれた。
幸い病院を変える必要はなく、
急な里帰り出産も安心だった。
体調が安定するまで
しばらくかかったけれど、
貯金問題をいつまでも
棚上げには出来ない。
思い切って義父に連絡し、
すべてのケリをつけるため、
私は義実家を訪問した。

クズオ「ごめん、スカ子」  

顔を見るなり、クズオと義母、
義姉はそろって土下座。
義父が背後で3人を
厳しくにらみつけている。
事情の説明を求めると

クズオ「実は、俺も
FXに手を出していて」  

またもや信じられない事実が発覚した。
義母は、新規キャンペーンの
特典欲しさに義姉や夫、友達にも
FXを勧めまくっていたらしい。
その結果、軒並み大損。
義姉は、信用をいい事に
義兄の貯金を使い果たして、
離婚を言い渡されていた。
補填すれば離婚は回避できる
という話は

義父「いや、そんな話は
初めから無かった」

義姉可愛さの、義母の
思い込みだったと判明した。
実際は、信用できないを理由に
離婚は決定していたという。
当たり前だわ。

それでもクズオが貯金に
こだわったのは、
自分の補填のためだった。
どうりで2,000万が必要な割に、
500万でいいとか、
中途半端な事を言っていたわけだ。

スカ子「ごめんじゃ済まないわよ。
離婚を要求します」
 

私も、義兄と同じ。
信用できない伴侶なんか、
伴侶に値しない。
クズオは

クズオ「そんなぁ。
もう2度としない!
頼む、許してぇ」
 

泣き出したが、義父に

義父「父親の自覚もなく、
妊婦を脅して貯金を
差し出させるなど、
それこそ謝って済む問題 じゃない。
スカ子さんは、離婚で
済ませてくれるというんだ、
ありがたいと思え!」

怒鳴られ、鉄拳も浴びせられた。
がんがん手加減なしに
ぶん殴られた夫は、
おとなしくなって、
鼻血を出しながら離婚届にサインした。
最後に義父から聞いた話では

義父「クズオは、
母親がマリばかり構うのを、
本当はうらやんでいたらしい。
FXも、母親の言う通りに
すれば褒められる、愛されると
思ったと、言っていたよ。
いい年をして親離れ
できなかったとは、残念だ」

そんな事情があったらしい。
気の毒だけど、子供の父親に
相応しくない人との
考えは変わらなかった。

諸悪の根源、義母はもちろん
義父に離婚され、義姉ともども
巨額の損失を義父に立て替えてもらい、
その代わり財産分与無し。

クズオは、会社勤めを理由に
助けてもらえなかった。
義母も義姉もパートを掛け持ちし、
安いボロアパートで
細々と暮らしているという。
近頃はクズオも転がり込んだようだ。
そのうえご近所に

近所の奥さん方「あの人よ、
FXを宣伝していた人」

「友達をだまして、
自分だけ儲けたんですって」

「嫌だわ、そんなずるい人。
縁を切りましょ」

大げさに噂され、
後ろ指もさされている。
逃げたくてもお金は無い。
離婚された3人が肩を寄せ合い、
噂話に耐えながら必死に働いて、
義父に莫大な立て替え金を
返しているとか。

私の方は、返してもらった
貯金通帳の中身が、
減るどころか増えていてびっくり。
義父は、今後の育児に
役立てて欲しいと語ってくれた。

だから今は、義父にだけ
孫を会わせている。
しんどい目には遭ったけど、
これで良かったのだろう。
新しい道を、私は我が子と
一緒に歩いていく。
お金を大事にしながらね。