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本編
その後、ナオトとミサは嬰児の
略取・誘拐未遂で起訴された。
ナオトは子供を略奪した後、
私が追跡出来ないようにする為に、
産院に乗り込む前に、既に同業の別
会社に転職していた事が発覚した。
あれほど誇りに思っていた
仕事さえ、ミサの為なら簡単に
捨てられたと言う事なのだろう。
ただ、警察が調べれば、転職先など
簡単に調べがつくと思うのだが…
証拠が揃っている上に、
ミサがベラベラ歪んだ持論を
まくし立て、洗いざらい
自白してしまったらしく、
反省の色も全く見られないので、
厳しい処罰を免れる事は
出来ないだろうとの事だ。
義両親が弁護士を紹介してくれた
ので、私はナオトに慰謝料と
養育費を一括払いで請求し、
同時にミサにも慰謝料を請求した。
おまけに2人には、院長の高級車の
修理代も請求されたらしく、
最終的に犯罪歴と借金だけが
残る事になりそうだ。
今回の事がきっかけとなり、
産院のセキュリティーも
強化されたと言う事なので、
もう2度とこんな事件が
起こらない事を願うばかりだ……
誘拐は未遂で済み、トモカさんの
赤ちゃんも無事に取り返す事が
出来たので本当に良かったが、
私は今でも、
(あのままトモカさんの
赤ちゃんが、何かしらの
被害を受けていたら…)
と考えてしまい、
時には悪夢を見る事もある…
なので、今は故郷の島に戻り、
実家で子育てをしており、このまま
ここで暮らす事も考えている
と言うのも、小さな離島には
『よそ者が来ればすぐ分かる』
という利点が有るからだ。
ナオトやミサがまた現れたら…と、
心配せずに済む生活は、
今の私にとって、
何にも代え難いものなのだ。
トモカさん夫婦とは、
今でも連絡を取り合っている。
今のところ、顔を見れるのは
オンライン上だけなのだが、
トモカさんは「そのうち家族で
会いに行くよ!」と
言ってくれているので、
(少し大きくなった子供達が、島の
海辺で仲良く遊べる日が来たら…)
そんな幸せな未来を想像しながら、
私は今日も、子育てに奮闘中だ。
完