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本編
警察で事情聴取を受けた
コワモテさんによると、
ミカコは初めてのお子さんが
残念な事になって以降、
妊娠が難しくなったらしい。
そのせいもあってか、
妊婦に対して強い執着を
抱くようになったそうだ。
私が、ミカコに言わせれば能天気で、
妊婦なのに安全に気を遣っていない
様子だったものだから、執着心と
嫉妬心で、どんどんおかしな方向へ
行ってしまったという。
そしてあの日だ。
私が強引にいつもと違う駅で
下ろされたのを、コワモテさんは
車両の奥で目撃し、
普段から様子がおかしかったと
いう事もあって、後をつけてきた、
といっては人聞きが悪いかな。
つまり、追いかけて
きてくれたとのことだった。
コワモテ「彼女は、刑務所送りに
ならない代わりに、病院で
長期療養の見込みだそうだ。
両親が引き取るとか、
そんな話を聞いたよ。
一生子供は産めないし、
旦那さんとも離婚で、自由な
行動はもう出来ないだろうな」
スカコ「そうですよね。
私も、警察で聞きました。精神的な
問題で、裁判は難しいかもって」
スカコ夫「スカコが無事なので、
まずはよしとします。
民事裁判は別ですけどね」
夫は戦う気満々だった。
これはさらに後日の話に
なるけれど、示談になった。
ミカコの実家はそれなりに
裕福だったようで、彼女の
両親が必死の様子で土下座し、
8桁に達する示談金を
提示してきたのだった。
ミカコ父「娘は二度とよそ様に
ご迷惑をおかけしないよう、
私どもで厳重に保護します。
どうか、お許しください」
ミカコ母「しかるべき病院も
施設も用意して、世間様の前に
出しません。私達が責任を
もって監視しますから」
ミカコは保護という名目の、
実態は刑務所レベルな監視体制で
一生を終えることが決まった
ようだ。私と夫は納得した。
この一年後に、私と夫は新しい
家族を迎え、家を新築し、
幸せな家庭を築くことになる。
平和ってなんてすばらしいんだろう。
私は、しみじみと喜びを
かみしめるのだった。
完