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本編

マスミ父「とぼけるつもりか!?

おまえ。これを見ても

しらを切れるとでもいうのか!?」

 

父親は、まるで大魔神。

どすどすと家の奥までいったん

引っ込み、しばらくして何やら

書類を持ってきた。

一度は丸めて捨てたもののように

見える、しわくちゃの紙だった。

それをテーブルに広げた。

 

分娩予約書。

確かにこう書いている。

発行元は産婦人科だ。

分娩って、子供を産む事だよな?

え?予約って何?どういう事?

 

出産予定妊婦の欄には、

間違いなくマスミの名前がある。

出産予定日もしっかりある。

 

マスミ父「家内が言うには、

産婦人科に提出する書類だそうだ。

予約しないと、人気のある

病院では子供を産みたくても

場所がない事になるという。

これを見ればわかるだろう。

娘は確かに妊娠している」

 

父親が興奮ぎみに

そう叫んだ時だった。

ただいまというのん気な声がして、

ケーキショップの箱を持った

マスミが姿を見せた。

 

マスミ「ごめんね、

お待たせしちゃって……え!?

お、お父さん!?

なんでこれがお父さんの

手元にあるの?」

 

分娩予約書に気づいたらしい

彼女が顔色を変えた。

父親が娘を見る。