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【第15話】毒親の母が893の事務所に俺の履歴書を送り、俺の就職が決まった→20年後…
前回の内容はこちら▼ 1話から読みたい方はこちら▼ 本編 カノウの兄貴は面倒見がよかった。 怖いところはもちろん怖いし、 口より先に手が出る 典型的なタイプだった。 だけど、よく食事に連れて行って くれたし、極道の男が覚えておくべき 遊びも...
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本編
次第に目をかけられるようになり、
俺はだんだんと極道の世界で
生きていくんだと、
覚悟も定まっていった。
そんな時、俺の目の前で、
敵対組織の構成員が連れて来られた。
集団で痛い目に遭わせる
「ヤキを入れる」ためだ。
暴力的な事に慣れていなかった俺は、
カノウの兄貴に教えられた事も
すっかり忘れて震え上がり、
叱られたのだった。
この時、俺は20歳。部屋住み修行
2年間が終わり、下っ端ながら
構成員扱いになっていた。
カノウ「てめえ、
死にたくねえんだろ?」
やっと荒事が終わり、カノウの
兄貴と二人、事務所で食事を
とれるようになった。
兄貴は、普段は見せない
心配そうな顔をしていた。
カノウ「どうも、荒っぽい事にゃ
向いてないな、てめえは。
だからといって、オヤジやカシラの
専属料理人ってわけにもいかねえし。
どうだ、この際だから、
もっと勉強してみねえか」
ジン「勉強?」
カノウ「金融とかコンピューター
とか、そういうのだ。経済で
シノギをあげて、組に貢献しろ。
そうすりゃ、周囲がてめえを
守ってくれる」
兄貴は本当に優しい人だ。
顔は怖いし、何かと言えば
手が上がるけんかっ早い人
なんだけど、自分より
下の立場を大事にしてくれる。
下っ端は雑に扱われるのが
当たり前なこの世界で、カノウの
兄貴はとても面倒見がよい。本当に。
物心がつく前にいなくなった父親、
ろくに俺をせわしなかった
母親よりも、兄貴のほうが
よっぽど親らしいとさえ思う。