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【第14話】毒親の母が893の事務所に俺の履歴書を送り、俺の就職が決まった→20年後…
前回の内容はこちら▼ 1話から読みたい方はこちら▼ 本編 ジン「絶対服従ですか」 カノウ「反抗しても、別にいいぞ? 命が要らねえっていうならな。 うちは極道の組織だ、そこら辺の 生ぬるい会社と一緒にすんなよ?」 カノウさん、いやカノウの兄貴...
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本編
カノウの兄貴は面倒見がよかった。
怖いところはもちろん怖いし、
口より先に手が出る
典型的なタイプだった。
だけど、よく食事に連れて行って
くれたし、極道の男が覚えておくべき
遊びも、一通り教えてくれた。
特に、料理の腕は褒めてもらえた。
カノウ「けっこう旨い飯を作れるん
じゃねえか、取柄はあるんだな」
ジン「ありがとうございます!」
カノウ「この世界で、旨い飯を
作れるやつは重宝されるぞ」
兄貴の言ってる意味が
よく分からなかったが、
やがて理解できた。
抗争だ。
敵対組織と対立の末に、組織同士が
武力衝突する、これを抗争と
呼ぶのだが、物凄い厳戒態勢になる。
のちに法律が整備されて、
組織間の大掛かりな争いはできなく
なったが、俺が足を踏み入れた当時は
まだ法整備が追い付いていなかった。
敵が襲ってくる。
事務所だけじゃなく、
外出している幹部も襲われるのだ。
そうなると、事務所に立てこもったり
して、自由がなくなる。
そんな時、よい食事を提供できると、
息抜きになったりするので、
上層部に気に入られやすくなる
という事だった。
母の手料理で育ったどころか、
母に食事を出していた俺の経験は、
妙なところで俺を救ってくれた。