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本編

首根っこをひっつかまれて、

俺はいわゆる極道の世界へと

身を投じた。

いや違う、

引きずり込まれたのだった。

 

家の中に連れ込まれた瞬間に、

どこから現れたのかというくらい、

若い男たちがわらわら集まってきて、

あっというまに取り囲まれた。

 

10人くらいいる、どいつもこいつも

凶悪な面構えの男たちに円陣を

組まれ、俺はその中心で正座。

そこに、周囲より少し年上というか、

立場も上らしい男が現れた。

 

後で知った。この人が、

カノウの兄貴だった。

 

カノウ「何だこのガキ」

 

構成員「周囲をうろついてやがって、

何考えてるのか、わからないんです」

 

カノウ「おい。てめえ、ここが

どこだか、分かって来てるのか?

肝試しなら墓地にでも行けや」

 

ジン「いえ、あの、そうじゃなくて。

母に言われたんです、

就職が決まったから、

ここへ行くようにって」

 

俺が、死にそうな声で答えると、

全員が「はぁ?」という顔になった。

そのうち、若い男の声がした。

 

構成員「カノウの兄貴!

もしかして、あれじゃないですかね。

履歴書送ってきたって

中学生の坊主の話」

 

カノウ「……ははぁ、あれか」