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本編
以前聞いていた話によると、
アヤカさんの父親は、アヤカさんが
幼い頃に事故でなくなっており、
女手一つで育ててくれた母親も、
アヤカさんが20歳になる前に
病気で亡くなってしまったそうだ。
親戚なども、子供の頃から
一切交流が無かったらしく、
頼れる先は皆無らしい。
(元々天涯孤独なのに…やっと
結婚して家庭を持てたと思ったら、
夫は酒乱のD●男で、
赤ん坊を抱えて着の身着のまま
逃げる羽目になるなんて……
双極性障害だけでも大変なのに……)
私はアヤカさんの苦難の
連続の半生を思い、苦しくなった。
一応、離婚届けは出せたみたいだが、
元旦那さんの気が変わって
粘着して来ないとも限らない。
これから先、生まれたばかりの
息子・ユウト君を抱えたアヤカさんの
人生を、どう立て直せばいいのか…
私に出来る事は何なのか…
探る日が続いた。
アヤカさんとユウト君は
病院でしばらく療養し、その間に
支援窓口に連絡を取りながら、
経済的支援を受けられるよう
手続きをしたり、住まいを
確保するための申請をしたり、
今後もし元旦那さんから●力を受けた
場合、すぐに接近禁止命令の申立てを
出来るよう準備したりもした。
安全な環境で治療を続けていく中で、
アヤカさんは少しずつ
心の安定を取り戻していった。
やがて住む場所も決まり、
アヤカさんとユウト君は
都営住宅で暮らし始めた。
それからは、以前のようにまた
通院をしてもらい、カウンセラーと
連携しながら治療を続けた。
一方で地域の保健師さんとも連携を
取り、生活に関する問題や悩みにも、
出来る限り寄り添い、
解決策を模索していった。
とにかく、アヤカさんが1人で
悩んで、ネガティブに物事を
捉えてしまわないよう、
子育てに支障が出るような事態に
陥らないよう、少しでもおかしなこと
があればすぐに対応するようにした。
やがてアヤカさんは働き始め、
生活も徐々に安定していった。