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本編
さらに、ケイタがちょくちょく
スマホを失くしていた点。
すぐ見つかるし、だいたいは
ナナが発見するのだけど、これも
実は娘が隠していたのだという。
正確には、いじわるするつもりでは
なく、ケイタの様子や態度がおかしい
と感じて、スマホに原因があると
推理し、娘なりに調べるために
持ち去っていたのだった。
ナナ「頑張って調べたんだけど、
やっぱりナナは探偵じゃない
からかなー?パスワードは分かった。
知らない女の人のアイコンが
いっぱいあるアプリは見つけた。
でも他は分からなかったの。
パパと知らない女の人のお話は、
ナナが読めない字で
書いてあったから」
アスカ「いやいやいや。
パスワード突き止めるなんて、
もう十分すぎるくらい探偵だわ。
どうやってパスワード調べたの?」
ナナ「パパが数字をいじってるの、
後ろで見てたの。後でこっそり
スマホを持ってきて、覚えた数字を
入れたら画面が開いたよ」
ナナはけろっとした顔で語った。
何なの、その観察眼は。
ケイタも油断していたと思うけど、
恐れ入ったわ。我が娘ながら、
将来が楽しみなやら、
ちょっと怖いやら。
でもおかげで、
私は救われたのだった。
ケイタは、やっと自分のした事の
重大さが分かったらしく、今
は泣きながら取り調べに
応じているそうだ。
ちなみに、保険金詐欺は重罪。
未遂でも10年以下の実刑は
免れないという。
この際、しっかり罰を受けて
反省して欲しいと思う。
もちろんケイタとは離婚した。
ナナはもう、父親を少しも
恋しがらなかった。
私とナナは実家に引っ越し。
私は相変わらず在宅の仕事を
がんばっている。少しずつだけど
案件が増えていて嬉しい。
ナナ「ママ、最新作見ようよー」
アスカ「はいはい、ちょっと待って。
もう少しで終わるから」
両親と娘、そして私。
新たな生活はとても穏やかだ。
今度こそ言える。
絵に描いたような幸せ家族だと。
おわり