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【第９話】深夜1時に娘が突然「今すぐパパと離婚して！」→理由を聞いた私は娘と慌てて逃げ出した…
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2023.10.27
本編
ナナと二人で、住宅街を小走りに
駆け抜け、大通りへ出る。
幸い、割と大きな幹線道路なので、
空車タクシーが時々走っていた。
大急ぎで手近な車を呼び寄せ、
飛び乗る。
アスカ「ナナ、ママのおじいちゃん
おばあちゃんのおうちに行くよ」
ナナ「それがいいと思う」
タクシーが走り出すと、
私はほっとした。ナナもようやく、
顔のこわばりを緩めたように見えた。
アスカ「ナナ、どうして
気が付いたの？」
ナナ「これ」
娘は、私にメタルブラックの
スマホを差し出してきた。
仕事に出かける前にケイタが
騒いでいた「サブスマホ」だ。
アスカ「パパの仕事用スマホ？」
ナナ「たぶん、違うと思うよ」
アスカ「違う？」
ナナ「パスワード知ってる。
ナナのお誕生日」
５歳児とは思えないほど大人びた、
ナナの横顔だった。
まるで、娘が大好きな
探偵アニメの主人公みたい。
恐る恐る、ナナの誕生日を
入力したところ、夫のスマホは
あっさり開いた。そして、
私は怒りにかられたのだった。
アスカ（あんにゃろぉぉぉ！
ふざけんなよ、サイコパス野郎！）
心の中で、激しく叫んだ。
何が仕事専用よ、何がデータ管理よ！
これ、正しくは
浮気専用スマホじゃんか！
この件だけでも許せないのだけど、
それどころじゃない。
もっと許せない事実が、
ざくざく出てくる！
絶対に痛い目を見せる！
黙って思い通りになってたまるか！
そんな気持ちを抱えて、
私は実家に転がり込んだのだった。
明け方。時刻は午前５時。
私のスマホが
じゃんじゃん鳴っている。
メッセージも雨あられ。
あいつ、私とナナの外出というか、
厳密には「逃亡」に気づいたらしい。
